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痛快!憲法学

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む まとめ後半

議会とは 最初の議会は、国王が新しい税金を作ろうとし、召集したもの。一方、貴族たちは新しい税金反対のために議会を利用した。 多数決は効率的に物事を決めるための、一種の便法です。多数決で決まったことが正しいなどとは、誰も保障していない。(50…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む まとめ前半

憲法とは 憲法は成文法ではなく、本質的には慣習法である(10P) 憲法は国民に向けて書かれたものではない。誰のために書かれたものかといえば、国家権力すべてを縛るために書かれたものです。……したがって、憲法に違反することができるのは国家だけ。(…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 補足

予定説と不安 「信仰のみ」とは、言うは易く、行うは難い。これこそ、宗教心理学の鉄則である。一心に信じなければならないと、あせればあせるほど、どこからともなく不信の心がわいてくる。(「小室直樹経済ゼミナール」77P) プロテスタントは「信仰の…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第13章後編

アノミーが日本社会をぶっ壊した 小室直樹が最もよく使う用語がアノミーです。 アノミーとは言うなれば、「社会の病気」です。アノミーが起これば、身体にも心にも異常がなくても、その人間は異常な行動を取るようになる。(266P) 私は「気違い」という…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第13章中編

日本国憲法はデモクラシーの敵? この本では紙幅の関係か占領憲法無効論には触れられていません。また、帝国憲法(尊皇思想)でなければ日本のデモクラシーは成立しない、とも書いてありません。しかし、はっきりと日本国憲法はデモクラシーの敵であるという…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第13章前編

バブル崩壊の原因 それは総量規制という大蔵省・土田正顕が出した通達でした。この行政指導は法律ではないため、議会が無関係であるばかりか、大臣すら無関係だそうです。官僚は日本経済を私物化し、社会主義以上の権力を振るっています。そればかりか、無能…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第12章後編

戦後唯一のデモクラット 議会政治で重要なことは、討論・演説です。そして、それを通じて予算・法律を作ることです。しかるに現在日本の政治は、討論・演説なんて、ありゃしない。国会中継なんて誰も見ないし、ましてや演説が本になるなんて、想像すらできな…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第12章中編

軍部大臣現役武官制 陸軍の三長官会議(大臣、参謀総長、教育総監)は、復活した軍部大臣現役武官制(武官は現役の他に予備役、後備役などがある)を利用して、自分たちに都合のいい内閣を作りました。気に入らない総理大臣は組閣できないようにしたのです。…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第12章前編

大日本帝国憲法の死 明治憲法は最後まで(占領憲法制定まで)立憲君主制を貫き通しました。立憲君主制(君主に拒否権なし)という面に於いては明治憲法は最後まで死ななかったのです。しかし、それはデモクラシーにとって必要条件の一つでしかありません。宗…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第11章後半

天皇教が近代的憲法を生んだ そこで勤勉の精神と同時に必要になってくるのは、人間は平等であるという精神です。(214P) 身分制社会では、職業選択の自由はありません。すると労働市場というものも成立しません。平等な人間同士の契約という考え方も出…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第11章前半

第10章は経済学の話で、要約するのが大変なので省略とします。しかしいくつかの点は書いておきます。まず、利子率は2%以下になってはいけないということ。それからもう一つ、 古典派の教えに従って規制緩和をしたところで、元来が資本主義ではないのだか…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第9章後半

平和主義者が戦争を作る 前回は、憲法第9条がケロッグ・ブリアン条約のコピーであり、自衛戦争(要するに全ての戦争)を合法としているという話でした。 ケロッグ国務長官は「自衛戦争は対象外です」と明確に答えた。(174P) さて、戦後の日本のように…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第8章、第9章前半

近代民主主義では「法の前の平等」を何よりも尊重します。(151P) 法の前の平等、あるいは法の下の平等とは、要するに機会の平等です。法律は何人も差別しないということなのです。 カエサル、ナポレオン、ヒットラー それはさておき、デモクラシー、憲…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第7章

公約とは契約である ここだけは第6章の終わりです。 公約とは選挙民と議員との約束、つまり契約です。……もし、それを(公約と異なる政策に)変えるのであれば、いったん野に下って、新しい公約を選挙民に問うというのが民主主義の常道です。(117P) 契…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第6章

ジョン・ロックの「社会契約説」 清教徒革命の頃、イギリスにジョン・ロックという思想家がいました。彼は医学も研究していたので、科学的思考ができました。彼は国家や社会がない自然状態というものを考えたのでした。歴史上、そのようなものが存在した可能…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第5章

人権とは 前回は、予定説を信じるプロテスタントは信仰がどんどん強くなっていく、という話でした。今回は予定説はまず置いておいて、人権の話から始まります。「人権」という概念については、以前に書いたことがありますので、以下も参照してください。 htt…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第4章

リヴァイアサン、誕生 前回、王様の権力が強くなってきたという話までいきました。商工業が発達した結果、農奴からの地代が収入源だった貴族たちは、それまで持っていた特権も失いつつありました。そしてフランスの思想家、ジャン・ボダンの主権という概念に…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第3章

日本人の勘違い 「民主主義と憲法とは、本質的に無関係である」……みんながデモクラシーの基本要素だと思っている議会制度も、多数決の制度も民主主義とは本質的には何の関係もない。……憲法や議会などという制度はデモクラシーという考えが生まれるずっと前か…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第2章

法律とは何なのか 「法とは誰かに対して書かれた強制的な命令である」ということ。「守ってもいいし、守らなくてもいい」なんて法律はない。……さて、そこで問題なのは「誰が誰に命令するか」ということです。……法律の場合は、国家権力です。……では、「誰に」…

小室直樹の「痛快!憲法学」を読む 第1章

「痛快!憲法学」とは 小室直樹の「痛快!憲法学」(2001年4月発売)は集英社の「痛快!」シリーズの一冊である*1。小室直樹の最高傑作の一つと言えるだろう。「痛快!」シリーズは毎回、集英社の漫画から1作品が挿絵に使われているらしく、この本では…