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小室直樹の「痛快!憲法学」を読む まとめ後半

議会とは

  • 最初の議会は、国王が新しい税金を作ろうとし、召集したもの。一方、貴族たちは新しい税金反対のために議会を利用した。
  • 多数決は効率的に物事を決めるための、一種の便法です。多数決で決まったことが正しいなどとは、誰も保障していない。(50P)
  • アメリ連邦議会には「フリー・バッター」制度が設けられていて、少数意見を持つ議員の演説時間は制限しないことになっている。……また、連邦議会の議事進行では、多数派と少数派の差が少ない場合、なるべく話し合いで妥協点を見つけるという慣行がある。(50P)
  • 公約とは選挙民と議員との約束、つまり契約です。……もし、それを(公約と異なる政策に)変えるのであれば、いったん野に下って、新しい公約を選挙民に問うというのが民主主義の常道です。(117P)
  • 「議会のおける論争によって、すべてを決する」というものです。(126P)
  • サッチャー元首相は、その回顧録で「民主主義の眼目は、率直で力を込めた討論である」と記していますが、イギリスの名政治家、大政治家は例外なく雄弁家だった。ディズレーリしかし、チャーチルしかり、サッチャーしかりです。戦後日本において、その伝統を体現したのは角栄ただ一人であった。(245P)
  • 彼らの演説が本にまとめられて、市販されていたくらいです。代議士の演説集が販売され、それがどれも大ベストセラーになったなんて、シマジくんには想像もできないでしょう。(228P)
  • 議会に集まる議員たちの後ろには、彼に1票を投じた大衆が控えている。これこそが議会の力の正体です。(240P)

腐朽官僚制

  • デモクラシーの官僚制は依法官僚制であるが、日本は前近代の家産官僚制である。
  • 言い換えれば、近代の官僚は「法律の実行マシーン」である。(257P)
  • あらゆる官庁の役人は、日本経済は俺のものだと思って、今なお各業界を指導・監督しています。(258P)
  • 日本の官僚制は伝統主義によって、1940年体制(戦時統制経済)のままである。腐朽官僚制と呼ぶ。
  • 伝統主義になってしまう理由の一つは、機能集団(官庁や企業)が日本では共同体になるから。
  • 加えて、日本には受験戦争があり、支那科挙から分かるとおり、官僚は無能である。
  • 依法官僚によせ、家産官僚にせよ、官僚というものは放っておけば、自分の権力をどんどん肥大化させ、腐敗していくものと相場が決まっています。……したがって、官僚とは本来、悪であると考えたほうがいい。(259P)
  • マックス・ウェーバーは「最高の官僚は最悪の政治家である」と述べています。……政治家たちが上手にコントロールして、初めて官僚の力を活かすことができる。その好例が田中角栄です。(261P)

戦後日本に発生したアノミー

  • アノミーとは言うなれば、「社会の病気」です。アノミーが起これば、身体にも心にも異常がなくても、その人間は異常な行動を取るようになる。(266P)
  • アノミーとは無連帯、つまり孤独のこと。それにより無規範、無秩序になる。
  • 天皇の権威が消滅したために、アノミーが発生した。同時に農村共同体も消えた。これは先進国共通の現象と言えそうだが。機能集団が共同体となることでアノミーは少し解消された。
  • 権威とは要するに、何が正しくて何が正しくないかを決める存在です。権威とは規範を定めるものです。(267P)
  • 父親の権威がない家庭では家庭内暴力が発生しやすい。そこでさらに父親の権威が下がり(子供の暴力に歯向かわないから)、最終的に殺すか殺されるまでいく。
  • 日本は貧富の差が減った結果、無階級社会となり、受験戦争が階層構成原理になった。これがアノミーを拡大再生産する。

デモクラシー裁判の原則

  • 行政(警察、検察など)が「デュー・プロセス」(適法手続き)に反する捜査などを一つでも行った場合、被告は自動的に無罪となる。
  • 近代法の思想を一言で言うと、「1000人の罪人を逃すとも、一人の無辜を刑するなかれ」(27P)
  • 言うなれば検察=性悪説が近代刑事裁判の大前提。(24P)
  • つまり、裁判官というのは、あたかも中立で公平な存在のように思われているけれども、本質的には被告の味方であって、検事の敵なのです。(24P)
  • 被告は有罪が確定するまでは無罪と見なされるというのが近代デモクラシー裁判の鉄則です。(22P)

日本人のための憲法原論

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