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小室直樹の「痛快!憲法学」を読む まとめ前半

憲法とは

  • 憲法は成文法ではなく、本質的には慣習法である(10P)
  • 憲法は国民に向けて書かれたものではない。誰のために書かれたものかといえば、国家権力すべてを縛るために書かれたものです。……したがって、憲法に違反することができるのは国家だけ。(29P)
  • 憲法は、貴族たちが特権を守るために国王に契約させたのが始まり(マグナカルタなど)。
  • 戦前、日本の憲法が死んだのは何故か。
  • 日本のデモクラシーを殺したのは軍部でもなければ、ましてや憲法ではない。日本人みずからがデモクラシーを殺したのです。(232P)
  • そもそもデモクラシーも資本主義も近代憲法も人権も、キリスト教から生まれたものであって、人類普遍の原理ではない。
  • GHQはそこを勘違いしていた。さらに、勝ち取るべきデモクラシーを日本人は(GHQに)与えられてしまった。
  • 民主主義とは国家権力との戦いなのだということが忘れられると、自由も平等もたちまちにして変質してしまうのです。(266P)
  • 戦後の憲法では、「天皇の前の平等」という考えは取り除かれ、いきなり「平等」だけが与えられた。(265P)

人権とは

  • そもそも人権というのは、万人に平等に与えられるもの。人間でありさえすれば、誰にでも無条件で与えられるというのが人権の概念です。しかるに、「少年の人権」とは誤用もはなはだしい。子どもにだけ認められ、大人には認められない権利があるとしたら、それは子どもの「人権」とは言いません。それは、子どもの「特権」です。だから、少年法の問題にしても、「少年に特権を与えよ」という論説を書くべきなのです。(77P)
  • プロテスタンティズムの予定説によって、人間は神と比べたら誰もが小さな存在である、神の前では平等である、という考え方が生まれた。
  • 日本では、天皇の前での平等だった。江戸時代には日本人は皆、尊皇思想を信仰していた。
  • 近代民主主義では「法の前の平等」を何よりも尊重します。(151P)
  • デモクラシーにおける平等とは、結局のところ「身分からの平等」に他なりません。法の前には、身分は関係ない。誰もが同じように富を求めることができる。(265P)
  • 平等な人々が契約を結んで国家を作ったとする「社会契約説」が生まれた。ホッブスとロックが有名。
  • 国家が生まれる以前(自然状態)に人々が持っていた権利は、国家といえども奪ってはならないというのが、人権。主に生命、自由、私有財産
  • デモクラシーにおける自由とは、元来、「権力の制限」を意味しました。
  • 契約こそ、民主主義や資本主義を支える基礎中の基礎なのです。(141P)

予定説からデモクラシーが生まれた

  • 神の意思に合わないことは悪いことだと、伝統主義(昨日まで行ってきたことは無条件で正しい)が消えた。
  • 日本で伝統主義を壊したのは尊皇思想だった。
  • 主権は慣習法を無視することができる。そして、自分が望む法律を自由に作って、人々に強制することができる。すなわち「立法権」という考えが、ここから出てきます。(55P)
  • ホッブスは「万人の万人に対する闘争」をやめさせるため、国王が主権者であるとした。
  • ロックは生産という考え方を導入し、「万人の万人に対する闘争」は起こらないから国王=国家権力を縛るべきだと考えた。
  • 「代表なくして課税なし」という考えによってアメリカ独立戦争が起きた。私有財産の権利はそれほど重要である。私有財産を認めるのだから当然、社会主義ではない。

予定説から資本主義が生まれた

  • さらに彼(ロック)は私有財産の正当性をも基礎づけました。個人の私有財産というのは、労働の結果、新たに生み出された資源です。誰かから奪ったものでもなければ、盗んだものでもない。その人の持っている私有財産は労働に対する正当な報酬なのだから、それをどれだけ貯めようと、どんな使い方をしようと、誰にも文句を言われる筋合いはない。(110P)
  • 予定説を信じると、自分が神を本当に信仰しているのか不安になる。その不安に勝ち、信仰を絶対のものにするために、神が予定した「天職」に励む。
  • 労働はキリスト教が教える隣人愛の実践にもつながります。なぜなら、他人が求める商品やサービスを提供すれば、それだけ隣人愛を行ったことにもなる。だから、ますます働くことは正しくなった。(92P)
  • これを行動的禁欲という。世界史上、プロテスタントと尊皇の志士にのみ見られた。
  • 隣人愛が目的であるから、定価販売になった。
  • 日本には予定説がないから、二宮尊徳を学校で教え、資本主義を根付かせようとした。
  • 古典派の教えに従って規制緩和をしたところで、元来が資本主義ではないのだから、その効果は知れたもの。……ですから、まず日本人全体が資本主義の精神に戻ることです。(207P)

日本人のための憲法原論

日本人のための憲法原論