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続・神話の本

日本人の心のふるさと―日本神話はなぜギリシア神話ににているのか(吉田敦彦)

子供向けの本ですが、よくまとまっています。以前紹介した「日本神話 日本人の心のルーツが見えてくる!」では、主に神話のストーリーと日本の神話の特徴、日本人の精神構造との関係が説明されていました。記述は少ないのですが、日本神話のルーツについても書かれていました。「日本人の心のふるさと」では、そのルーツを主に取り上げ、縄文時代にも農耕が行われていたことや、昔話には神話が元となったものがあることなどが分かります。内容はいくらか被ってしまいますが、神話に興味がある人は、ぜひ2冊とも読んでみてください。

神話学とは何か(吉田敦彦、松村一男)

科学偏重の社会に生きて、私たちは神話を未開の人々の、荒唐無稽な「虚偽の話」と考えてきた。しかし、神話は、宇宙はどうしてできたのか、人間はどこからやってきたのか、文化はどのように手に入れられたのか、これらの問いに、すばらしく、輝かしいイメージをくりひろげて答える人類の思索の結晶である。近代合理主義の枠を脱し、私たちを最も新しい「もう一つの知の世界」に誘う珠玉の入門書。(裏表紙より)


第1章・神話とは何か(松村一男)では、
したがって神話は、「世界や人間や文化の起源を語り、そうすることによって今の世界のあり方を基礎づけ、人々には生き方のモデルを提供する神聖な物語」であると定義できるだろう。(3P)


神話、宗教、儀礼はその源を共有している。(10P)
とあります。神道と日本神話はやはり一体であると考えるべきでしょう。それらは厳密に言うと宗教ではなくなりつつあるのかもしれません。しかし、では日本人の宗教は何かと考えてみると、エトス(行動様式)や規範は、間違いなく神道と日本神話が源となっており、古代人と大きな違いはないと思うのです。しかも現在の日本人は、自分の宗教の形を理解できていませんから、神話を知ることこそ最も大切なのではないでしょうか。


第3章・日本神話の解明(吉田敦彦)は、「日本神話 日本人の心のルーツ〜」や「日本人の心のふるさと」で取り上げられている内容とだいぶ被っていますが、3冊とも、その本にしかない内容もあり、面白いのでぜひ読んでみてください。私としては優先順位は「日本神話 日本人の心のルーツ〜」「日本人の心のふるさと」「神話学とは何か」ですが、神話学に興味がある人には、この本をおすすめします。


三種の神器について
天照大神須佐之男命、大国主神と、三種の神器の鏡、剣、玉は、それぞれ神聖・主権、武力、豊穣・生産を意味しているという。他に私が知っているのは、知、勇、仁であるという説、正直、智恵(決断)、慈悲であるという説。


おまけ(13Pの表)

  神話 伝説 昔話
真偽 真実 事実 虚偽
時間 世界の完成以前の太古 歴史上のある時 無時間
場所 完成以前の世界 現在と同じ世界 不定
性格 神聖 神聖または世俗的 世俗的
主人公 人間以外(主として神々) 人間 人間または人間以外(妖精など)


神話は(信じる人にとって)真実である。では、事実という意味ではない真実とは、何なのか。思うに、事実は客観的に存在するものであり、真実は一人一人の心の中に存在する「本当のこと」なのである。確かに科学の発達によって、神話は事実ではないことが明らかになった。日本列島を生んだのは神ではなく、大陸の移動や大洋の水位の変化であった。しかし、そんな事実だけでいいのだろうか。それはそれ、これはこれ。神話は真実、「本当のこと」なのだ。未だこの感覚を明確な言葉に出来ない。いや自分でもよく分からない。この感覚は、神社に参拝する人が絶えないことから考えると、日本人の一般的なものだと思う。


歴史の事実は、常に客観的に存在する。しかし、ある事実と他の事実との因果関係は、主観的に判断される。その時、その人が判断材料とするものを史観と呼ぶ。