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教育勅語(大原康男)

人権擁護法案マガジン第89号(9月29日発行)より再掲載。修正あり。


 政治で一番大切なことは何か。経済か、財政か、福祉か、はたまた外交か。私は教育だと思います。教育は百年の計と言いますし。さて、最近、教育基本法が改正されましたね。基本法というくらいだから、これが今の教育の根底にあるのでしょう。教育制度を規定するのは他の法律であっても、です。それを変えるということは、教育の方針を大きく変えるということです。では、この基本法に欠けていたものとは、何なのでしょうか。
 この本は、教育勅語と、その漢英仏独語訳、あとは解説が12ページという、薄い本です。ここでは、その12ページの解説を主にご紹介します。
 <ところが──何と不思議なことには──現代の日本人は自分自身の過去については、もう何も知りたくはないのです。それどころか、教養のある人たちはそれを恥じてさえいます。「いや、何もかもすっかり野蛮なものでした」とわたしに明言したものがあるかと思うと、またあるものは、わたしが日本の歴史について質問したとき、きっぱりと「われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今からやっと始まるのです」と断言しました>
 解説はこの文章から始まります。なるほど、自虐史観に洗脳された現代日本人か。こいつらには教育勅語を教えてやりたいものだ、そういう意味でしょうかね。しかし、実はそうではない。驚くべきことに、これはドイツ人のE・ベルツが明治九年に記した日記なのです。王政復古の明治に!実に不思議です。
 明治時代には、近代化を急ぐあまり、日本自身の学問をないがしろにしていた。それが理由のようです。日本の歴史は恥ずかしいもの、というのは今に始まったことではなかった。そんなことだから、今の日本や二、三十年前の英国のようになってきたのでしょう。明治二十三年になって、ついに教育に関する勅語が作成されます。
 その際、井上毅は草案作成の前提条件として、「宗教上の争いを引き起こす原因となる「天を敬い、神を尊ぶ」のような語を使用しないこと、「漢学の口吻と洋風の気習」を吐露しないこと等々、実に慎重かつ細心、バランス感覚豊かな見解を開陣している」さらに、明治天皇からご意見をいただき、学者とも話し合って、万全を期して完成させました。
 この中に「國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ(憲法を重んじ法律に従い)」という一節がありますが、これは天皇が御自ら、残しておけと仰られたそうです。「朕爾臣民ト倶ニ拳拳服膺シテ(私はあなた方国民と共によく守って)」とありますから、天皇憲法や法律を、御自身より上位に置いたのです。つまり立憲君主ですね(ま、仮に憲法が悪かったらダメですが)。
 そんな感じで苦労して、「古今ニ通シテ謬ラス(昔も今も間違いでない)」「之ヲ中外ニ施シテ悖ラス(国内でも海外でもおかしくない)」ものを作ろうとしました。
 日露戦争時に、アメリカに派遣されていた金子堅太郎は、日本の連戦連勝を驚く米国人に「日本はどんな教育をしているのか」と聞かれました。そこで金子は、翻訳した教育勅語を披露しました。すると多くの米国人が、これに共感し賞賛したということです。この話には私もびっくり。また、明治四十一年の国際道徳会議では、教育勅語についての講演がなされましたが、その際も好評であり、海外でも教育勅語は評価されたのでした。GHQのH・G・アンダーソンさえも、狂信的愛国主義から切り離せば、教育勅語は悪いものではないと考えていたそうです。
 話が教育基本法に戻りますが、教育基本法教育勅語が存続することを前提として作られているのです。しかしあっという間に、教育勅語は無効になりました。すると、教育基本法は黄身のない玉子のようなものです。「戦後教育の荒廃が叫ばれて久しい今日、かつて、故アデナウアー西独首相からも高く評価された教育勅語を、いま一度素直に読み返してみてはいかがであろうか」
http://www.ryukyushimpo.co.jp/dokusha/koe21/ke021208.html
>西独のアデナウアー首相が終戦後間もないころ、教育勅語の独訳文を公邸の自室に掲げて日々愛誦していた。


教育勅語はネットでも読めます。明治神宮のサイトより。
http://www.meijijingu.or.jp/intro/education/


 ただ、教育勅語だけを暗記すればまともな人間になる、というふうに作られたわけではないでしょうから、これを根底にしたいろいろな教育、歴史とか修身とか、それがないとダメだと思います。戦前の教科書を復刻したり解説したりしている本は結構ありますので、読んでみるといいと思います。