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万葉の人びと(犬養孝)

 NHKラジオで放送された番組を書籍にしたもので、万葉集を知らない人(私です)でも簡単に楽しく読むことができる。この著者が本当に万葉集が好きなんだなというのが伝わってきて、説明もうまいのですっかり万葉集が好きになってしまった。万葉集は時代、風土、人物を抜きにして考えたら、絶対に理解できない心の音楽である。後の時代の心がこもってない気取ったものとは違って、自分の本心を自然に歌っていたり、あるいは美の世界で、あるいは現実の中で、人それぞれ、全く感じが違うが、共感できる歌を歌っている。天皇、皇族の歌、貴族の歌もあるが、関東の百姓の歌、防人の歌などもある。和歌は我が国で最高の文学であり、音楽である。しかもその最高峰が、最も古い時代の、この万葉集に収められたものたちだと思う。著者は98年に亡くなったが、今年が生誕100周年にあたる。以下、気に入った歌を一つ。


詠んだ人:山部赤人
天地の 分かれし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 布士の高嶺を 天の原 振り放け見れば 渡る日の 陰も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくそ  雪は降りける 語り継ぎ 言い継ぎ行かむ 不尽の高嶺は
反歌
田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける