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吉田松陰「講孟箚記」を読む 第5回

以下、吉田松陰「講孟箚記(下)」より。


(VIPまとめより)
446Pの章について……自己犠牲は大切である。他人のために自分の命すら投げ出す。しかし、一人の人間を救うために自分が死に、さらに救うことができなかった場合、人は無駄死だ、犬死だと言うかもしれない。だが、果たしてそうだろうか。自己犠牲という行動が他人の耳に入り、人の心を動かした時、同じ行動をとる人間が増えるはずである。とすれば、この人は直接救った相手はいないけれども、間接的に何十人、何百人の生命を救ったといえるのである。無駄死、犬死ではない。逆に言えば、他人を見捨てた場合、他の人も同じ行動をとるようになるとすれば、何十人、何百人の生命を見捨てたことになるのである。よくよく考えるべき問題である。


天下より視れば人君程尊き者はなし。人君より視れば人民程貴き者はなし。……君なければ民なし。……民なければ君なし。
<訳文>天下の人々から見るときは、天皇ほど尊いものはなく、君から見られるときは、人民ほど貴いものはないのであって、……君がなければ民がなく、……民がなければ君がないのである。(490,491P)
(VIPまとめより)
大東亜戦争終戦の時、まさにこの関係が活きた。君がなければ民は存在し得ない。少なくとも「日本人」としては。


地を離れて人なく、人を離れて事なし。人事を論ずる者は、地理より始む。
<訳文>土地を離れては人というものはなく、人を離れては仕事というものはない。されば人間の仕事について論じるには、まず地理の調査から始めるべきである。(542,546P)


道は天下公共の道にして所謂同なり。国体は一国の体にして所謂独なり。……皇朝君臣の義、万国に卓越する如きは、一国の独なり。……国体の最も重きこと知るべし。……国体も亦道なり。〔国俗と国体とは自ら別なり。大抵国自然の俗あり、聖人起ちて其の善を採り、其の悪を洗ひ、一箇の体格を成す時は、是を国体と云ふ。……〕
<訳文>道は天下公共のものであるから、孟子のいう同(共通のもの)であり、国体は、その国がその歴史のうちから生み出してきた特有の国がらのことであるから、孟子のいう独(独自のもの)である。……わが国の君臣の義が万国にすぐれていることは、わが国のみの独である。……国体が最も重いものであることは、おのずから明白となる。……「国体」というものも道に外ならない。〔国俗と国体とは、おのずから別個のものである。だいたい、その国自然の習俗があって、聖人が現れてそのうちの善いものを採り、悪いものを除いて、一つの体格(骨ぐみ)を作り上げると、これを国体と呼ぶのである。……〕。(576,578P)
(VIPまとめより)
聖人とは天照大神神武天皇だけを言うのではないだろう。藤原鎌足和気清麻呂楠木正成吉田松陰といった人物は、皆、国体を作り、国体を護持してきた聖人君子だ。さて、「乃木希典―高貴なる明治」(岡田幹彦)によれば、乃木将軍は士規七則の第二条について「日本国の万邦に冠絶せる国体、金甌無欠なるその国体の最秀最美の精華を深く肝銘せねばならぬのじゃ。すなわち、皇統連綿たる天皇陛下日本民族の首長にましまし、国民はその一家一門であり、義においては君臣、情においては親子たる一大宣言をはっきり認識することである。かくして忠君愛国の至誠、献身犠牲の大節を万古不易の大信念に貫き、一死以て君国に殉ずるのが日本国体の精華なのじゃ」と言っている。先にあげた聖人が、そして全ての臣民が、「万国に卓越する」「皇朝君臣の義」を守ってきた結果、「皇統連綿たる」皇室が存続してこれたのである。また、天壌無窮の神勅を信じれば、これは予定説であり、松陰先生たちは神に予定された忠臣であるとも考えられる。神は21世紀の現在にも、忠臣の出現を予定したに違いない。最後に、「国体も亦道なり」という言葉については、前掲書の乃木将軍の言葉、「世界精神を発揚せんとするには、まず正しき国家精神を擁護愛熱せねばならない。各自の国家を完全な道義国として生長せしめることによって、始めて全人類も一大飛躍を生ずるのだ」という意味で考えればよく分かるのである。


先駈(さきがけ)は狂者の事なり。
<訳文>先駆は狂者の任務であり、(591P,604P)


「箚記」の開巻第一義は、国体・人倫にあり。故に首として君臣の大義を論ず。結末に至りて、みだりに此の道を以て自ら任とするの意を著す。
<訳文>「講孟箚記」においては、その根本精神、国体を明らかにし、人倫を確立することにある。それ故に、初めに君臣の大義を取り上げて論じ、最後に至り、過分のことながら、この道の継承実践をもって自己の任務としている意中を明らかにした。(592,605P)


以上で、吉田松陰「講孟箚記」を読む(全5回)を終了します。「講孟箚記」を読む場合、おまけの「保建大記を読む」も優れた文章なので、ぜひ読んでください。また、私のように気に入った言葉を抜書きして後で何度も読み返すと、面白いと思います。さて、第1回からここまで全部読んでくださった方はいるのかしら。いたらぜひコメントをお願いします。