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氷川清話(勝海舟)

 もし勝海舟が現代に生きていたら、混迷する政治を、そして世界をどのように変えていくだろうか。
 これは、知らぬ者は居ない、あの勝海舟が語った短い談話を集めた本だ。どうでもいいような話、細かくて全然分からない話、そういったものがないわけではない。しかしここには、勝海舟という極めて偉大なる人物と、彼を通して見る幕末・明治の日本と世界がある。きっと読む人のレベルによって、理解に差が出てくるだろう。単に知識の量だけを言うのではない。勝さんや西郷さんのような人物が読むのと、私のような小人が読むのとでは、まるっきり違ってくるはずだ(もっとも、それはこの本に限らないが)。だからといって、私たちが読む価値が無い本かと言えば、決してそんなことは無い。面白いし、ためになる。何より、こういう人物になりたい、ならねばいけない、そんな気持ちになってくる。なかなか良い本である。
 なお、講談社学術文庫版は、「氷川清話」の決定版というべきものになっているようだ。なぜなら、かつての「氷川清話」は新聞や雑誌に掲載されたものを改竄しまくっており、それがきちんと修正されたのが講談社文庫版、それを新たな資料の発見によって再修正したものこそ、この講談社学術文庫版なのだ。
 最後に、勝さん流に言えば、「この本は長いって? そうかね、確かに一冊として考えれば長いかもしらん。だが万巻の書を読むのに比すれば、ずっと短いもんだヨ。それだけの価値があるのサ。お偉方は、こういう文体の本は好まんかもしれんがノー。」ごめんなさい、似てませんね。アマゾンのレビューに、うまい文章がある。
 もし勝さんのことを知らない人がいたら、同じ講談社の「火の鳥伝記文庫」をおすすめします。子供向けながら、よくまとまっているシリーズ。そもそも伝記とは、人物の生涯から精神や向上心を学ぶためにあり、小難しい本よりも子供向けの本の方がよかったりする。その点、氷川清話も小難しい本ではなく、完全に口語の文章である(一部文語文だが)。
 なお、読んでいないが「海舟語録」という本も講談社学術文庫に入っており、編集者は同じ江藤淳、松浦玲である。

氷川清話 (講談社学術文庫)

氷川清話 (講談社学術文庫)