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伊福部昭のCD一挙レビュー

 昨年の大晦日には、「伊福部昭の芸術4 宙─SF交響ファンタジー」のレビューを書きました。もう一年経ったのかと驚くばかりです。伊福部さんの純音楽(クラシック)曲は、昨年の大晦日の時点では、映画音楽の編曲を除けば、「伊福部昭の芸術2」などに収録されたシンフォニア・タプカーラ、日本組曲など僅かな曲を知っているだけでした。しかしこの一年で、かなりの数のCDを入手し、代表的な曲はほとんど揃いました。そこで今夜は、伊福部さんのCDを一挙に全てレビューしてみたいと思います。計38枚。それでは皆さん、良いお年を。

好きな指揮者ランキング

  1. 小松一彦
  2. 芥川也寸志
  3. 石井眞木
  4. 山田一雄
  5. 広上淳一
  6. 井上道義
  7. 野中図洋和

所有CDレビュー

日本狂詩曲は、なかなかの迫力がありますが、この演奏では第1楽章の静かなところが、とても雰囲気がよく仕上がっています。土俗的三連画はまとまり感や丁寧さが良いです。交響譚詩は迫力と美しさが他の指揮者・楽団の演奏より優れています。

これほど丁寧に演奏されたタプカーラは他にないでしょう。しかし迫力も失われてはいません。日本組曲は非常にゆっくりなテンポですが、これは伊福部さんの支持によるものと思われます。ながしのテンポは特にゆっくりですが、私は大好きです。

サロメはあまり演奏されないので、このCDで聴くのがよいでしょう。兵士の序楽はこれ以外にCDがあるのか不明です。

この曲は初演もいいですが、このCDはかなりいいです。ただ第1番は他の曲に比べて迫力に欠けます(怪獣のテーマではなくマーチの部分)。石井眞木先生の振る第1番〜第3番が非売品であるため、どのような演奏か私も知りません。今のところ、このCDがこの曲の決定版と言えます。

協奏風交響曲は他にCDが出ていないと思います。協奏風狂詩曲はゴジラのテーマが出てくることで有名ですが、ヴァイオリンの美しさが素晴らしいです。協奏三題を持っていないため、この曲に関しては他の演奏と比較不能

エグログも比較が出来ません。しかし曲自体は、なかなか気に入っています。日本の太鼓は、伊福部先生ご本人が振って弟子たちが打楽器をやった演奏があり、いずれCDを入手したいと思っています。フィリピンはこのCDか卒寿コンサートでしか聴けません。

キングギドラファンタジーは曲も糞なら演奏もダメです。ただ、ラゴスやエミーは名曲だと思います。わんぱく王子の大蛇退治は名曲です。伊福部さんの映画音楽の中でも、かなり素晴らしい部類に入ります。

銀嶺の果てからアメノウズメの舞までの4曲は素晴らしいです。それ以外の演奏は好みが分かれるところ。初心者にはとてもお勧めできません。初心者には芸術1、2、4がお勧めです。

陸上自衛隊中央音楽隊の演奏。吉志舞は悠然としたテンポで演奏され、神代や古代の優雅さが出ている感じがします。この曲はテンポ速めの「黒船以来」収録の演奏と甲乙つけがたいと言えます。交響譚詩はまずまず。タプカーラはかなり迫力が出ています。この曲はだいたいが弦楽器メインで演奏されますが、吹奏楽である以上、全て管楽器であり、美しさより迫力を優先させた感じです。SF交響ファンタジーはいまいちですが、自衛隊が演奏することに意味がある。

芥川先生の指揮は滅茶苦茶素晴らしい! 超ハイテンションの交響譚詩に、凄まじいタプカーラ。究めつけはヴァイオリン協奏曲第2番で、この曲はどこか外国で初演されたのですが、本当に名曲、そしてこのCDは名演奏です。このCDを持っていない人は伊福部ファンを名乗れません。早くヴァイオリン協奏曲第2番のピアノリダクション版を出して欲しい。そして管弦楽オリジナル版を生で聴いてみたい。

  • 交響作品集

山田一雄もすごい指揮者で、日本狂詩曲はおそらくこれ以上ない演奏です。とてつもない迫力があります。土俗的三連画もテンポ速めで、この曲にしては珍しく迫力が感じられ、好みが分かれるところです。私は気に入っています。ラウダ・コンチェルタータは他の演奏を知らないので比較できませんが、山田一雄だからこその迫力が出ていると思います。

  • 交響頌偈「釈迦」

釈迦もすごいですが、一緒に入っているSF交響ファンタジー第1番は空前絶後の素晴らしさです。聞くところによると小松一彦は日本組曲もうまく振ったとのことで、かなりすごい指揮者だと思います。このSF交響ファンタジーは伊福部ファン必聴です。

  • 交響二題

上のCDと全く同じ選曲だが、あと一歩か二歩及ばず。そのため、上記を持っていれば必要ないCDだが、石井眞木先生の指揮はさすがというほかない。

  • 米寿記念演奏会 完全ライヴ!

石井先生のすごさが分かるCD。「ギリヤーク族」の弟子たちによる管弦楽版は貴重。タプカーラは特に第1楽章が凄まじい演奏で、この曲の本質を示してくれる。SF交響ファンタジー第1番は縮小版なのが惜しいが、非常に迫力がある。小松一彦の演奏に次ぐ出来。

  • SF特撮映画音楽の夕べ

初演で、「芸術4」や非売品の石井盤と同じ選曲。なかなかいい演奏だが、ずば抜けたところはない。最初のゴジラのテーマで、だんだん速くしていってほしいところを、途中で一旦止まってから急に速くなるなど、変な部分もある。

文字通り全歌曲です。中にはオリジナルが合唱曲や男声曲というものもあり、全バージョンとは言えません。しかし藍川さんの歌唱力と言ったら鳥肌ものです。1曲目のギリヤーク族でいきなり鳥肌が立ちました。こんなこと、普通の歌手にできるものではありません。しかし生で聴くのに比べたら、CDなんてのはゴミみたいなものです。アイヌを聴いてそう実感しました。

デュオ・ウエダは伊福部ファンの夫婦のギタリストです。このCDは、ロック以外にギターを知らない私に、新たな世界を見せてくれました。素晴らしい編曲、演奏はもちろん、何より選曲がナイスです。伊福部ファン必聴。来年はタプカーラなども発表するそうです。

ギターやリュートの曲はこのCDでだいたい聴けます。演奏も悪くはありません。しかし、デュオ・ウエダのような楽しい演奏ではなく、聴いていて飽きてしまいます。もしかすると伊福部さんにとってギター曲は鬼門だったのでしょうか、それか私の好みの問題かもしれません。

  • 作曲家の個展

井上ミッチーの指揮はカッコよさが重視されている感じがします。どの曲も節度を持って速いテンポで演奏されており、今年演奏された日本狂詩曲の遅さとは正反対です。日本組曲は一聴の価値あり。

ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータを収録。それ以外の2曲は伊福部さんではない。リトミカはこの演奏が最も良いと思われる。ネットでの評判もかなりいい。伊福部さん得意のオスティナートをタイトルに持ってきたという点でも、彼の代表曲を名乗れるほどの曲。

なかなか良い曲だが、初心者には勧めない。現在、これ以外の演奏は存在しない。また、音画であるにもかかわらず、映像はソフト化されていない。なお、この曲にはコタンの口笛や、札幌市立琴似小学校の校歌などのメロディが出てくる。

このCDはありえないくらい糞です。しかし他にリトミカの入ったCDがどうしても入手できない場合、あるいはどのくらい酷いか興味のある伊福部ファンは、聴いてもいいと思います。

  • ゴジラ・シンフォニック・コンサート

東宝の黒澤映画や特撮映画で有名な作曲家・佐藤勝が指揮しました。しかしながら、あまりいい演奏とは言えません。よほどのマニアでない限り、手を出さなくていいでしょう。

吹奏楽のためのゴジラメドレー、マーチメドレー、もともと吹奏楽曲のロンドインブーレスク、計3曲を収録。どれもなかなかすごい演奏で、編曲も伊福部さん本人の監修の下、弟子の和田薫が行っている。これをいろんな吹奏楽団が演奏すれば楽しいのだが。中学高校の楽団が演奏するならば、日本中で聴くことができるし。

  • 映画音楽の世界

ゴジラからビルマの竪琴まで、伊福部先生のありとあらゆるジャンルの映画音楽を集めたもの。様々な映画会社の作品が入っており、時代、ジャンル、監督、役者などの顔ぶれを見ると、まさに日本映画の縮図である。素晴らしいCD。ただ、特撮音楽は様々なCDが出ているので、特撮はもっと少なくてもよかったかも。

伊福部さんが東宝SF特撮映画のために書いた曲のベスト盤で、怪獣部門、マーチ部門、その他に別れています。ものすごく「分かってるじゃないか」という感じのグッドな選曲で、初心者からコレクターまで楽しめます。ただし昭和の映画限定です。

このCDはゴジラに限定していて、伊福部さん以外の作曲家の曲も収録しています。メインタイトル集とその他に別れており、これまたグッドな選曲です。ただ「vsメカゴジラ」の時に発売されたため、後の2作の曲は入っていません。

最近入手するならこれ。デジタルリマスターと擬似ステレオ化で、往年のファンも楽しめます。選曲の基準は東宝怪獣行進曲と同じで、内容は結構違います。あの曲がないのに、この曲がある、という部分もあり、中途半端なコレクターの私には、なかなかよいCDです。

  • 特撮映画マーチ集

伊福部さんの特撮映画マーチを網羅したCDですが、テイク違いなど、収録漏れはかなりあります。全て収録すると2枚組みか、もしかすると3枚組みになってしまうでしょう。怪獣行進曲やミレニアムベストには、宇宙大戦争M−32完全版は収録されていないため、それがこのCDの白眉と言えます。

いわゆる平成ゴジラ、あるいは平成VSシリーズと呼ばれる映画のベスト盤です。選曲はなかなかよいですが、一部おかしい点もあります。他の映画音楽CDと比べて、近年の曲ばかりなので音は良いです。

ゴジラサントラボックスを除けば、これがゴジラ(54年)の音楽を最も完全に収録している(サントラボックスについては詳しく知りません。東宝ミュージックが出しています)。

これもサントラボックスを除けば、最もゴジラvsビオランテの音楽を完全に収録しているCD。

これもサントラボックスを除けば、ゴジラvsキングギドラの音楽を最も完全に収録しているCD。

ゴジラ大全集ではないため、あまり収録曲は完全ではないかもしれないが、どちらも「完全収録 伊福部昭 特撮映画音楽 東宝篇9」に比べたら不完全である。

これも「完全収録 伊福部昭 特撮映画音楽 東宝篇10」に比べると不完全なCDだ。

サントラボックスはどうか分からないが、とりあえず完全収録。伊福部さんが指揮するゴジラのテーマも収録されているが、テンポが遅くてカッコいい。

  • オスティナート

特撮未使用フィルム大全集というビデオのサントラ。全て再録音で、一部の曲はゴジラvsビオランテやvsキングギドラに使われ、「かわいいジェニー」の最終回でもふんだんに使われている。しかし演奏自体はいまいちなのが難点。帝都の惨状など美しい曲が貴重か。

  • 黒船以来(このかた)〜日本の吹奏楽150年の歩み〜

伊福部さんの曲は古典風軍楽「吉志舞」のみ収録。自衛隊の演奏と比べてもなかなかよい。録音、発売はこちらのほうが先と思われる。