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天皇原論・後編〜万世一系の意味

 日本国とその皇室は現存する中で世界最古の国家・王朝である。現存しないものと比べても、最長の王朝だと思われる。神武天皇は実在しないという人もいるが、起源が分からないほど古いというのは愉快なことである。
 英国の政治学者ラスキは

「王冠は敗戦を生き延びる事は出来ない」

と言った。オットー・カロン博士は以下のように言う。

 最近、日本から来た記録映画を見て驚いた。天皇が敗戦で大混乱の焼け跡を巡っておいでになる姿である。しかも、二年もの長い間、北の端から、南の端まで、焼き払われた廃墟を巡って、国民を慰めておられる。陸軍も海軍もすでに解体されているのに、一兵の守りもないのに、無防備のままで巡っておられる。
 平穏無事なときでも、一国の主権者が、自分の国を廻られるその時には、厳重な守りがなされている。それでも暗殺される王様や大統領がある。それなのに一切の守りもなく、権力、兵力の守りもない天皇が日本の北から南まで、焼き払われた廃墟を巡る。国民を慰める。何という命知らずの大胆なやり方であろうか。いつどこで殺されるか。こう思って映画を見ていた。しかし驚いたことに、国民は日の丸の小旗を打ち振って天皇を慰めている。こんなに美しい国の元首と国民の心からの親しみ、心と心の結び、これはどこにも見られないことである。

日本では、如何なる大きな敗北、如何なる大きな革命であっても、皇室は途絶えない。

「日本の天皇は神である」──明治4年におこなわれた廃藩置県をみて、英国の駐日公使パークスは歎じてこういった。(小室直樹天皇恐るべし」14P)

ああ、神というものの定義を私は知らない。

また、兼好法師は、「天皇と皇族は神胤にして人間の種にあらず」と「徒然草」で語る。(小室直樹天皇の原理」244P)

もちろん私は、天皇は人間ではないとは思っていない。もし神と人間とが両立しえないものだとしたら、天皇は神ではない。だが両立することができるのなら、天皇は神かもしれない。別にそれはどちらでもよい。天皇天皇なのだから。


 革命を易姓革命と捉えた場合、あるいはフランスやロシアのような反君主制革命だとした場合、日本では革命はありえない。それは天壌無窮の神勅に因る。

豊葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是れ吾子孫の王たるべき地なり。宜しく爾皇孫、就いて治せ。行矣。宝祚の隆まさんこと、当に天壌とともに窮無かるべし。(平泉澄「物語日本史」)

革命がありえないということは、天皇がどれほど悪虐であっても、反抗は許されないということだ。明恵上人は言う。

一朝の万物は悉く国王の物に非ずと云ふ事なし。然れば、国主として是を取られむを、是非に付きて拘り惜しまんずる理なし。(天皇の原理 小室直樹259P)
たとひ無理に命を奪ふと云ふとも、天下に孕まるる類、義を存せん者、豈いなむ事あらんや。(天皇の原理 小室直樹269P)
天皇が、たとえ、無理に命を奪うとおおせられても、日本に生まれ道義の心得ある者はどうしてこれを断ることができましょう。小鳥や蜂の生命すら、このうえなく大切にしてやまない明恵上人がこう言うのである。(天皇の原理 小室直樹269P)

吉田松陰先生も次のように言っている。

わが大八州は、皇祖が建国したのであって、万世にその子孫が継承し、天地とともに窮まりがないのであり、他人が分外の望みをいだくべきではないのである。天下は一人の天下であることはまた明らかである。……不幸にして、天子が激怒し、億兆の民をことごとく殺してしまうときは、……(「講孟余話ほか」337P)

これに逆らわず、全国民が一人残らず殺されるしかない。反逆は許されない、臣民に出来ることは諌めて死ぬだけである、と言うのである。革命がない、絶対にいけない、となると当然このような結論になる。江戸時代、尊皇の学者たちは歴代の天皇の中で、暴虐だった天皇を滅茶苦茶に批判した。しかし結論は、そのような天皇にも絶対の忠義を尽くせ、だった。これこそ尊皇思想の奥義である。この結論を拒否すれば、万世一系の皇室は途絶えてしまう。臣民に出来ることはただ、天皇が明君であることを祈り、暗君であった場合は頑張って諌めることだ。

参考になる本のうち、一部をご紹介する

物語日本史 平泉澄
昭和天皇 ご生誕100年記念 出雲井晶
昭和天皇語録 黒田勝弘、畑好秀
天皇恐るべし 小室直樹
奇蹟の今上天皇 小室直樹
天皇」の原理 小室直樹
「現人神」「国家神道」という幻想 新田均
講孟箚記 吉田松陰