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天皇原論・中編〜象徴とは?

美濃部達吉の言葉

天皇は御一身をもって国家の尊厳を象徴したまふのであるから、天皇の尊厳を冒涜することは、すなわち国家の尊厳を冒涜すること」(中川八洋「皇統断絶」226P)

 象徴とは、抽象的なものを理解しやすくするための具体的なもの、という意味である。
 幼児に5を教えるために、5個のリンゴを使ったとする。この時、幼児にとって5個のリンゴは5の象徴であると言える。なぜ象徴であるかと言うと、5個のリンゴ=5だからである(正しくは=ではない。5が常に5個のリンゴを意味するわけではないから)。
 天皇は日本国及び日本国民統合を具体的に表しているが、それは天皇=日本国及び日本国民統合ということである。しかも、5個のリンゴと違って日本国及び日本国民統合を象徴するものは、天皇の他には無いに等しい。象徴が無ければ抽象的なものを理解しやすくできないので、国家及び国民統合は保てなくなる可能性が高い。
 さらに、天皇は象徴であるのみならず、歴史的、宗教的にとてつもなく大きな存在であるから、確実にそうなる。神武天皇以来の「日本国」の連続性、正統性を保障しているのも、万世一系天皇の存在であろう。
 歴史上、天皇は常に我が国の最高権威であった。権威とは何が正しく、何が悪いかを決める者である。天皇を奉じ、天皇の命令を奉じる側が、常に正義であった。天皇に歯向かった者は、必ず後の世に糾弾された。この権威ゆえに、天皇は我が国の象徴たりえているのである。権威の消滅はアノミーを生む。アノミーとは無連帯であるから、皇室が無くなれば国民の連帯は完全に消滅し、国民統合は不可能になる。
 天皇はあらゆる立場から中立の位置にあり、政争によって国論が真っ二つに割れても、国民は統合されたままでいられる。


福沢諭吉の「帝室論」

帝室は政治の圏外のものなり、いみじくも日本国に居て政治を談じ政治に関する者は、その主義において帝室の尊厳とその神聖とを乱用すべからずとのことは我輩の持論にして、これを古来の歴史に徴するに、日本国の人民がこの尊厳神聖を用いて直に日本の人民に敵したることもなく、また日本の人民が結合して直に帝室に敵したることもなし。(以下は要約)帝室は政治の圏外において、軍事、文化、学問、道徳、芸術、福祉、慈善等々について、甚だしく精神的影響を与え、政争の上にあって日本国民を統合なさる。

この「帝室論」は英国の憲法学の影響を受けている。

バジョットの「イギリス憲政論」をもとにした福沢諭吉の「帝室論」は今上(平成)陛下のテキストとしても使われた。(八木秀次日本国憲法とは何か」150P参照)

幕府によって序列化された庶民は、天皇との結びつきを願い、自らの尊厳の根拠と身分解放への原理を天皇に求めたのです。被差別民や職人の由緒書や偽文書には、その起源を天皇に求めるというものが少なくありませんでした。(愛国心の教科書 渡邊毅55P)

一君万民の考え方は、全国民の平等に繋がる。

中江兆民は……「畢竟天子様は……一国衆民の頭上に在って……神様も同様なり。……神武天皇以来、皇統連綿として絶えることなく、御世毎に聡明仁慈に渡らせられ……」……
板垣退助も、「世に尊王家多しと雖も吾党自由党の如き尊王家はあらざるべし……」……
田中正造は……明治天皇を神のごとく尊崇し、「天皇が神聖なのは国民が神聖だからである」といって、国民一人ひとりの神聖性を主張しました。……
水平社宣言を起草した西光万吉……「天皇制」を、「日本民族にとって、これこそ尊重すべき民族的形式である」と述べ、天皇のもとでの解放と平等をめざしたのでした。(愛国心の教科書 渡邊毅57,58P)

あらゆる国民の運動は、陛下を中心に団結している。

天明7(1787)年6月7日……突如として「御千度参り」と称するものが起こり、連日繰り返された。庶民が突然、御所に大量につめかけ、その塀の周りをぐるぐる廻り始めたのである。……18日の前後には一日に七万人を数えた。……三ヶ月以上続き……数十万〜数百万に及ぶ大量の庶民たち……(服部剛「先生、日本のこと教えて」219P)

尊王思想は一部の人々のものではなく、ヨーロッパにおけるキリスト教のごとき広がりを持っていた。

幕末における尊王思想の浸透は、広く深く、徹底したものがあった。この時代になると、尊王思想によって深く感化されない者は、もはやどこにも存在しないあり様となっていた。草莽(民間)には草莽の尊王思想があり、武士には武士の尊王思想があった。諸侯には諸侯の尊王思想があり、幕府にも幕府の尊王思想があった。……井伊直弼も、思想上では、れっきとした尊王家であり独自の尊王論を持っていた。……佐幕(幕府に味方してこれを助ける主張をもつ)家もやはり勤王家には違いなかった。(「小室直樹経済ゼミナール」135,136P)

日本に生まれた者は全て、陛下の赤子(せきし)であり、愛が注がれる。乃木将軍は言う。

「皇統連綿たる天皇陛下日本民族の首長にましまし、国民はその一家一門であり、義においては君臣、情においては親子」

なにしろ戦後、社会党の結成大会で天皇陛下万歳が斉唱されたほどである。今の民主党社民党からは想像もできないが。以下は明治天皇御製。

千(ち)よろずの民と共にも楽しむにます楽(たのしみ)はあらじぞと思ふ(白鳥庫吉出雲井晶昭和天皇の歴史教科書 国史」423P)