人権擁護法案マガジン・ブログ版

人権擁護法案マガジンのブログ版です。人権擁護法案反対VIP総司令部まとめサイトはこちら http://zinkenvip.fc2web.com/

SHOWDOWN(対決)―中国が牙をむく日(ジェド・バビン、エドワード・ティムパーレーク)

 この本は、中国が台湾、アメリカ、日本などに対して宣戦布告する……そんな6つの短編が収録された小説である。著者は先代ブッシュ政権・国防副次官ジェッド・バビン氏と、レーガン政権・国防総省動員計画部長エドワード・ティムパーレーク氏。二人とも軍事のプロである。
 アメリカでの出版は今から約1年前で、日本では今年3月に出版された。この本のことはメールマガジン第176号(2006年6月30日発行)で取り上げ、その記事は以下に転載した。
[国防]再来年、中国の攻撃で日中開戦
http://d.hatena.ne.jp/jinkenvip/20070310/1173528198
 検索していたら政府刊行物のサイトが出てきたが、この本に日本政府が関係しているのだろうか?
 現状分析やシナリオに関しては、詰めが甘いとも思えるが、アメリカ人の視点というのがなかなか面白い。シナリオによっては北朝鮮のミサイル攻撃によって、日本のあの大都市が消滅する。だが、その可能性は日本人自身が考えてみても、決して低くないのではないか。
 しかし、全てがミサイルや航空機、潜水艦によって戦争が勃発するというシナリオではない。最も注目すべきシナリオは、中国の対衛星兵器によってアメリカや日本の情報網がダウンし、さらにサイバー攻撃によって電気通信が機能停止、さらに証券取引所や銀行のコンピューターに侵入して、何十兆円を瞬時に消滅させる……。電気が止まり、通信網がダウンした結果、日本やアメリカは政治・経済・軍事の面において完全に機能を停止し、降伏する。
 既に「電子冷戦」は始まっており、コンピューターやネットワークの防衛と攻撃方法を確立しなければ、戦わずに負けることになる。また、中国は今年に入って衛星攻撃実験を成功させたことは、記憶に新しい。果たして中国はどこまでその能力を伸ばすことができるのだろうか?
 第1章の冒頭に「中国?あれは眠れる巨人だ。眠らせておけ!中国が起きたら、世界を動かしてしまう。──ナポレオン・ボナパルト」と書かれているとおり、今や中国は眠れる獅子であり、豚ではない。その眠りは毛沢東が覚まし、今は狸寝入りしているにすぎない。第二の元寇が発生した時、日本に神風が吹くとは限らない。
 これら6つのシナリオは、どれか一つ、あるいはいくつかが同時に現実となる可能性もあるし、どれも現実とならない可能性もある。しかし、台湾をめぐっての対立は不可避だろうし、米中が戦争になっても、ならなくても、中国が台湾に侵攻すれば、日本をはじめとするアジア諸国にとっては深刻な事態となる。戦争回避は台湾に侵攻させないというレベルで達成されなければ、さもなくば戦争して勝利するしかない。どちらにしても、極めて困難であることは確かだ。

ファラン(註:フランスの元首相、2002年〜2005年)は、フランスは中国に武器を売ることができるなら、喜んで台湾を売るだろうと明言した。……ラファランはいった。「反国家分裂法は、フランスの立場と完全に一致している」(259P)

このように世界は真っ二つになりつつあり、EUは、アラブは、アフリカは、南米は、どちらに味方するか分からないのだ。日本は単にアメリカにくっついているのではなく、独自の外交によってアラブやアフリカ、南米と手を結ぶべきである。
 だが、民主党の大統領(例えばヒラリー)の場合、アメリカすら日本の敵となる可能性がある。
 あるシナリオでは、日本は今後(第三次世界大戦後)、軍事大国として復活するだろう、としているものもある。つまり最初の敗戦で日本は頭がいかれてしまった。しかし二度目の敗戦で、ショック療法的に復活するというシナリオだ。これはヨーロッパの例でも分かるとおり、初めての大戦争を体験すると、病的平和主義が生まれる。しかし、その結果として無駄な大戦争が発生すると、今度は現実主義者として生まれ変わり、それによって大戦争は起きにくくなるのである。
 注目すべきシナリオの一つに、アメリカが反米同盟の石油禁輸によって経済的にも軍事的にも機能停止に陥るというものがある。これは大東亜戦争そのままだ。日本もアメリカも中国も、石油が入ってこなくなればどうしようもない。その時、石油を手に入れるために戦争が起こるだろう。逆に言えば、石油禁輸は宣戦布告を意味している。
 そして東シナ海の石油や天然ガスは、おそらく膨大な埋蔵量で、日中開戦の理由になりうる。戦争は嫌だ、と言って中国に資源を譲った場合、中国に対するあらゆる面での譲歩は限りがなくなるだろう。東シナ海問題で戦争を避けたければ、「戦争するぞ」とはっきり主張することだ。特に、タイミングとしてはオリンピック前の今しかない。安倍総理や麻生外相には頑張ってもらわなければ。そのためには国民がそのような政策を応援しなければならない。日本の排他的経済水域内の資源は日本のものであり、公海のものは日中で協力すべきだ。
 平和を欲するならば、平和を維持する知能と腕力を手に入れる必要がある。
 最後に一つ。事実は小説よりも奇なり。中国のせいで人類が滅亡するシナリオも、可能性は0ではあるまい(この本にはそのシナリオはない)。彼ら中国共産党は、中国人民が10億人ぐらい減っても平気と考えている。いやむしろ、そうあってほしいと考えているかもしれない。中国の歴史では、人口は定期的に1割か2割まで減って、しばらくすると前以上に増えるということを繰り返してきたからだ。その原因は飢饉や戦争であったが、今の中国も全く違いが無いだろう。中国共産党が世界核戦争を望んでいないとは断言できない。

SHOWDOWN(対決)―中国が牙をむく日

SHOWDOWN(対決)―中国が牙をむく日