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雨あがる(★★★)

おすすめ度★★★(5段階)
一言紹介:黒澤明の遺稿を旧黒澤組スタッフが映画化。久しぶりの時代劇、復活の佐藤勝(音楽)。
2000年、東宝製作。
監督:小泉堯史、脚本:黒澤明、音楽:佐藤勝、原作:山本周五郎
出演:寺尾聰宮崎美子三船史郎吉岡秀隆、井川比佐志、松村達雄、加藤隆之、仲代達矢


 ストーリー:旅をしている浪人の武士が、雨で足止めされた。川の水位が下がるまで宿の人々と楽しく過ごすが、ひょんなことから、その藩の殿様に見初められ、剣術の師範になるよう命じられる。しかし旅の浪人に師範をやらせることに反対する家老たち。そのため、御前試合で実力を調べることになった。剣の達人である彼は、力を発揮し、剣術の師範になるのも確実かと思われたが……。


 名作と言えるほど素晴らしい映画ではない。しかし、なかなか楽しめる作品になっているのは確か。カラー時代の黒澤映画と比較したとき、この映画が一番面白いと言えるかもしれない。剣の達人だから当然アクションシーンもあり、なかなか迫力がある。
 黒澤明監督の息子・黒澤久雄がプロデューサーとなって、黒澤監督の遺稿(シナリオ)を小泉堯史監督ら旧黒澤組スタッフが映画化。衣装の黒澤和子は黒澤監督の娘だ。
 音楽はあの佐藤勝が担当。それほど佐藤勝らしさが感じられるわけでもないが、やはりどことなく良い。かつての黒澤映画が帰ってきた、と言ったら言い過ぎだろうか。考えてみると、映画における音楽の役割は大きい。本多猪四郎監督のゴジラシリーズは、全て音楽が伊福部昭だった。昭和のゴジラ伊福部昭が音楽を担当した映画は、全て本多猪四郎監督作品だった。このように監督の演出と音楽が完全に一致して観客に印象付けられた場合、音楽が違う人になってしまうと、監督まで違う人になったように思えてくる。黒澤明は佐藤勝と一心同体であった、と言っていいのではないか。最初に佐藤勝の名前が出た時点で、この映画に対する信頼感が生まれるのである。
 キャストは晩年の黒澤作品でお馴染み、寺尾聰、井川比佐志、松村達雄といった面々に、加えて三船敏郎の長男である三船史郎、衣装の黒澤和子の息子で黒澤明の孫である加藤隆之、名俳優・仲代達矢といった人たちである。三船史郎はミフネと全然似ていないし、演技も下手糞だが、まあ話題性は十分だろう。この人は基本的に役者ではなく、映画製作のプロデューサーらしい。そう考えれば、そんなに下手ではないかも。でもやっぱり似てない。親子なんてそんなもんか(孫のほうが似そう)。