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あの小沢氏が無効論者?

日本国憲法改正試案」小沢一郎自由党党首) 文藝春秋1999年9月特別号所収
http://ozawa-ichiro.jp/policy/04.htm

 ……さらに誤解を恐れずに言えば、占領下に制定された憲法が独立国家になっても機能しているのは異常なことである。民法においては、監禁や脅迫により強制された契約が無効であることは自明の理である。それなのに話が憲法になると「占領下であっても国会で論議されて、正当な手続きを踏んだ上で定められている」などと、法の精神を無視した主張が罷り通るのである。
 昭和二十一(一九四六)年、日本は軍事的占領下にあった。日本人は自由に意思表示できる環境になかった。正常ではない状況で定められた憲法は、国際法において無効である。これは一九〇七年に締結されたハーグ条約に明記されている原則であり、日本が終戦後に受諾したポツダム宣言にも、日本国の統治形態は国民の「自由に表明せる意思に従う」という条項があった。
 他国の憲法をみても、例えばフランス共和国憲法には「いかなる改正手続きも、領土の保全に侵害が加えられている時には開始されず、また、続行されることはできない」と書かれている。東西ドイツ統一以前の連邦共和国基本法(通称、ボン基本法)には「この基本法は、ドイツ国民が自由な決定により議決した憲法が施行される日に、その効力を失う」という文言があった。……
 結論を言えば、昭和二十六年にサンフランシスコ講和条約が締結され、国際的に独立国として承認されたことを契機に、占領下に制定された憲法は無効であると宣言し、もう一度、大日本帝国憲法に戻って、それから新しい憲法を制定すべきであった。もちろん新しく制定される憲法が「日本国憲法」そのものであっても、何ら問題はない。……京都学派の憲法論に戻るという選択肢もある。即ち最初に述べたように、一旦日本国憲法の無効を国会で宣言し、その上で新しい憲法を作りなおして、可否を問うのである。
 日本人は小心だから、なかなか思い切って現実を改革する決断ができない。それなのに、テポドンでも落ちてこようものなら、ヒステリーを起こして極端にまで突っ走るおそれがある。マスコミの論調もすぐに過熱して戦前の例の如く「鬼畜米英」ならずとも「直ちに北朝鮮をたたけ」という見出しが躍るかもしれない。しかし、これでは又、歴史の繰り返しである。
 だから、冷静に考えてほしい。小沢一郎が言ったからでなく、自分の頭で論理的に考えて、結論を出してほしい。

 私は欣喜雀躍した(冷静に考えてみると、別に嬉しくないが)。小沢は革命派、あるいは言い換えれば幕府派かもしれないが、占領憲法は無効であり、その確認宣言をした上で帝国憲法を改正、あるいは新憲法を制定すべきであると言うのである。その新憲法が「日本国憲法」と同じ内容であっても、そのような手続きを踏むべきであると言う。占領憲法無効という点では私と同じ考えなのだ。もし彼が無効論を貫くならば、私は小沢を支持する。安倍総理よ!野党の党首ですら、約10年前に無効論を書いている。保守派を名乗るならば、いや保守やリベラルに関係なく、もう一度、この憲法の根本に立ち返って考えてみるべきではないのか!
http://www.janjan.jp/kokkai_watch/0610/0610182998/1.php

(註:2006年10月18日の党首討論では)憲法改正問題でも同様だった。安倍首相が米国占領下で制定されたので、自分たちの手でつくっていく必要があると主張していることに対し、小沢氏は占領下での制定を問題にするなら、そういう憲法は無効ではないかとした。首相が「今日まで歩んできて無効というのは意味がない」と応じ、小沢氏も現実的でないのはわかっているとしたように、わざと挑発的に言ったようだ。

今日まで歩んできたから有効、とする態度は伝統主義であり、保守主義ではない。伝統主義に縛られている人間は吉田松陰とは対極にある。城内先生たちは憲法に関してどのようにお考えなのか気になるところだ。

改正試案、具体的な内容

 また、参議院に関して面白い意見を書いている。「参議院議員衆議院の指名により天皇が任命する。その任期は終身とする。」(小沢試案)つまり、貴族院のような議会とし、衆議院との差別化をはかる。もちろん権限は衆議院のほうが巨大であることは言うまでもない。占領下の憲法改正の議論でも、日本政府と議会は、参議院の議員は職能代表議員と地域代表議員(地方議会から選出)で構成しようと考えていた。(小山常実「日本国憲法無効論」172P参照)参議院衆議院と異なる性質を持たなければ意味が無い。
 さらに「内閣は、国又は国民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある緊急事態発生した場合は、緊急事態の宣言を発令する。緊急事態に関する事項は法律で定める。」(小沢試案)という戒厳令を定めている。「天皇の国事行為にした方がいいかもしれない」とも言っている。私ならば、まず第一に内閣に非常事態の権限を与え、内閣が機能停止に陥った場合は、天皇が非常大権を発動する、と定める。

無効宣言した後に新憲法を制定した場合

 小沢のように、無効宣言した後に改めて日本国憲法を定める、ということをすると、どうなるだろうか。帝国憲法の改正の限界を超えた「国民主権憲法である日本国憲法であるから、それを定めるには帝国憲法を廃止するしかない。よって革命である。これは幕府と同じであるから、最終的には倒すことが出来る憲法である。いや、倒さねばならぬ憲法である。しかし、「日本国憲法」と比べてどちらがマシだろうか。連合国主権か、幕府か。最悪の選択ではあるが。それで、新憲法を倒す場合だが、もちろん国民の支持が無ければ、明治維新のようには行かず、建武の中興のように失敗するだろう。