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日本国憲法失効論(菅原裕)

 今日は占領憲法施行60周年です。世間では憲法改正(あるいは同じ意味だと思われるが新憲法制定)が当然の路線であるかのように言われていますが、はっきり言えば、私は改憲反対です。憲法改正(及び新憲法制定)に断固として反対します。
 この本の著者は東京裁判で弁護人を務めた菅原裕さんです。著書「東京裁判の正体」は東京裁判に関する書籍の中では最も優れたものです。同じく「日本国憲法失効論」は、法の専門家として非常に論理的かつ分かりやすい内容となっています。
 似たタイトルの本に「日本国憲法無効論」(小山常実)、「日本国憲法無効宣言」(渡部昇一南出喜久治)がありますが、まだどちらも読んでいません。アマゾンでは他に「現憲法無効論」(井上孚麿)、「憲法の根柢と新憲法無効論」(自由党憲法調査会)という本がありますが、古い本のため入手不可能です。
 この本は、巻末の資料を除くと約100ページの薄い本ですから、気軽に読んでほしいと思います。

日本国憲法失効論とは

それは法の理論である。私の意見も加えて以下に説明する。

  1. 憲法は主権者が制定するものであるが、占領軍が制定することは主権国家憲法とは言えない。
  2. 憲法改正はクーデター、摂政がいる場合、占領中などの特殊な状況においては行えない。
  3. 占領中の憲法改正ポツダム宣言第十条およびハーグ規定第四十三条違反である。
  4. 憲法改正には限界があって、国体の変革をきたすレベルの改正は行えない。

よって日本国憲法は無効であり、占領管理法としても講和と同時に失効したとするものである。


2については、
フランス第四共和国憲法第九十四条の「本国領土の全部または一部が外国軍隊の占領下にある場合には、いかなる改正の手続きも、これに着手しもしくは継続することができない」との規定(菅原裕「東京裁判の正体」190P)があるが、わざわざ規定していなくとも、憲法を他国による占領下において改正するなど、認められない。


大日本帝国憲法第75条 憲法皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルコトヲ得ス

(註:枢密院で)美濃部達吉顧問官は「帝国憲法第七三条によって、こんな改正を行うことは、法理上不可能である」と主張して最後まで反対し、遂に唯一人起立をされなかった。(44P)


3については、
ハーグ陸戦条約第43条 国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限、占領地の現行法律を尊重して、成るべく公共の秩序及生活を回復確保する為、施し得べき一切の手段を尽すべし。


ポツダム宣言第十条 ……日本国政府は日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立せらるべし。


また、「日本国国民の自由に表明する意思」は未だ確認されていない。

占領管理法

西ドイツでは占領基本法が制定され、その第百四十六条に「この基本法ドイツ国民が自由なる決定によって議決した憲法が効力を生ずる日において、その効力を失う」とある。(菅原裕「東京裁判の正体」190P参照)

 では、なぜ日本ではドイツのように占領基本法が制定されずに、憲法改正が行われたのか。その理由はソ連にある。ソ連は日本を共和制にして、その混乱に乗じて北海道を手に入れようと企み、中国、豪州、フィリピン、ニュージーランドを誘って、日本の共和制化を主張したのである。そんなことをすれば日本統治が不可能になると考えたアメリカは、一週間で憲法を作成し、天皇は権力を失ったから共和制にする必要はなく、民主化は成功したと主張したのだった。しかし、新憲法制定の場合は法理に反するため、あたかも帝国憲法改正であるかのような体裁をとらなければならなかった。その改正も、新憲法制定の場合と同様に法理に反し、断じて有効とは言えないのである。


 このように、日本国憲法という名の占領憲法は無効であり、憲法とは言えない代物である。そして占領管理法としても当然失効している。よって、現在も日本国憲法があるかのような雰囲気であるが、実際には帝国憲法が改正されずに存在しているわけである。


 占領憲法を改正することは、我が国を真の主権国家、独立国家たらしめんとする愛国者が為すべきことではない。本質的にはGHQ主権、連合国主権が続くこととなり、よってアメリカ、ロシア、中国などに従属する半主権国家となるであろう。それは明治維新によって生まれた新政府が真っ先に何とかしようと試みたことであった。占領憲法はあたかも不平等条約のような、国際法も国家の法理も無視したものである。そもそも愛国者ならば、我が国の国体を無視した憲法を許せるはずがない。


 また、護憲という点から言っても、このような非憲法を擁護することが護憲などと言えるはずがない。機能から言っても、非憲法ではデモクラシーは機能しないのだから、護憲とは正反対であるはずだ。

帝国憲法復活の方法

 では、どうすればいいのか。日本国憲法無効を普通の国会決議で確認するだけでよい。そうすれば、その瞬間に帝国憲法に戻るのである。いや帝国憲法の生存を確認したことになるのである。もちろん帝国憲法はすぐに改正すればよい。そのために参考になるのは、松本案、日本国憲法自民党などの憲法改正案、各国の憲法、以上の4つである。松本案は帝国憲法の問題点を研究して作られた案である。日本国憲法自民党などの憲法改正案は、新時代に追加すべき条項が書かれている。新しく認められるようになった権利があるから、補充せねばならない。各国の憲法も、同様である。
 なぜ国会決議でよいのか。まず、法理上は帝国憲法が有効であり、日本国憲法は占領基本法であるから、占領基本法を成立させた議会が廃止も決定できるはずである。


 これを現実にするには、まず帝国憲法が生きている法理を国民が理解しなければならない。しかし愚かな者は、法理を理解しないであろうから、帝国憲法が素晴らしい憲法であることも併せて説く必要がある。そのためには、尊皇思想が再び国民に広まる必要がある。となると、これは数十年、下手をすると100年以上待たなければ不可能だ。その間、無効憲法を放置するのと、これを改正したり、新憲法制定を行うのとは、どちらが弊害が大きいだろうか。


 無効憲法を改正すると、無効であるものを有効であるように見せかけ、国民投票によってお墨付きを与えるものであるから、弊害は大きい。しかも、改正したところで機能することもなかろう。
 新憲法制定も同じくらい弊害が大きい。なぜなら、制定するのは国民だろうから、国民が真に主権者となろうという話だ。しかし、日本国の真の主権者は天皇陛下である。これは革命とは言わないまでも、幕府と同じことなので、逆賊には嬉しかろうが、国体の上から言えば断じて認められない。平泉澄先生は幕府を認める条件として、朝廷に政治を行う能力がないこと、幕府に政治を行う能力があること、幕府に尊皇の志があること、を挙げている。政府が幕府となった場合は、1の条件に合わない(朝廷そのものが幕府と化すから)。また、3を満たしていれば帝国憲法の復活を主張するはずであるから、政府が幕府と化すことは臨時措置としても認められない。


 臣民の自由、権利については、帝国憲法でも認めていたが、必要ならば一層の強化を改正によって行えばよい。そもそも自由、権利は近代憲法においては明文・不文に関わらず認められねばならない。また、自由、権利の根本的な部分は万国(民主国家に限る)共通であって、さほど問題とはならない。それよりも問題は、主権者や天皇の地位など国体である。すなわち国民の主権は天皇から借りているものであるということ。国家元首として君臨している天皇が裁可することで、法律などが効力を有する、つまり権威であること(裁可自体は占領憲法でも同様になっている)。

日本国憲法失効論

日本国憲法失効論

5月7日追記

桜魂 私が最近の改憲論に反対する理由は
http://nippon7777.exblog.jp/2449674/

まず「占領下法」の無効宣言が筋 【正論】上智大学名誉教授・渡部昇一
平成17年12月30日(金) 産経新聞


 ……現在の独立した日本が、主権なき占領時代の憲法(正確にいえば占領軍の占領政策基本法)を改正するならば、その憲法に対して日本人の意志によって正統性を与えることになる。なんとも恐ろしいことではないか。……無効宣言なしに憲法を改正することは、占領政策基本法に正統性を与えることであるから、今の改憲案に私は反対である。……

この記事の全ての意見に賛成するわけではありません。