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わんぱく王子の大蛇退治(★★★★)

おすすめ度★★★★(5段階)
1963年、東映動画製作。アニメ映画。音楽:伊福部昭
文部省選定・厚生省中央児童福祉審議会推薦
ベニス国際映画祭オゼルラ・デ・ブロンド賞
天地(あめつち)の初発(はじめ)の時から数えて最初の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」を作ったスサノオのお話。王子じゃなくて神様なのだが……。ストーリーは神話に沿ってはいるが、かなりアレンジされている。先に神話を知っておいたほうが、より楽しめると思う。というか、こっちが先だと間違えて覚えてしまいそうだ。
音楽が素晴らしく、音楽と映像がうまく合っていてすごい。古い作品(日本アニメの草分け的存在)なのでアメリカン・テイストが少し感じられるし、アニメと伊福部音楽が合うというのは、普通なら考えられないことだが、題材が神話であり、伊福部音楽を作品の中心としたスタッフの力量があって、はじめてこれだけのものができたのだと思う。アメノウズメの舞のシーンでは、心底感動してしまった。さすがに涙は出なかったが、音楽と映像だけであそこまで、しかも泣かせる曲ではないのだから、悲しいシーンではないのだから。このシーンは音楽が先にあって、踊りの専門化が踊って、それから作画という手順だったそうだ。効果音はゴジラ第一作のゴジラの鳴き声のように、伊福部さんら音楽スタッフが作成したらしい。でも、あまりよくはない。音楽がこのアニメ映画の魅力の8割くらいを占めている。もっと言えば10割か。しかし10割とした場合、音楽だけでいいじゃん、となってしまうが、音楽と映像の融合が素晴らしいわけで。レンタルビデオに予告編が二種類入っているが、片方は説明のナレーションも文字もなく、タイトルが出る以外はメインテーマと映像のみ。この音楽だけで、見たくなってしまう映画、それが「わんぱく王子」なのだ。
詳しいことは知らないが、この映画を制作したのは現在では考えられないほど豪華なアニメーター陣らしい。アメノウズメの舞と大蛇退治の二つのシーンは、伝説的な作画だとかなんとか。作画は当時なら世界最高かもしれない。今見てもすごい。大蛇退治のシーンの迫力に関しては、すごいが、さすがに古い。今ならもっと迫力のある映像が作れるだろう。しかし、これでは神話が泣く、ということはない。古くても迫力は感じられる。今見てもすごいことはすごい。
大蛇退治のシーンで「地球防衛軍マーチ」が流れるのだが、思わずびっくりして「おお!」と言ってしまった。やはり伊福部マーチ=日本神話、皇軍、なのだ。大東亜戦争の時の軍隊より、神代、古代のイメージ。音楽は2003年に交響組曲として編曲され、「伊福部昭の芸術7」に収録された。自らが大国主神の子孫=素戔嗚尊の子孫であり、由緒正しき神主の家系である伊福部昭以外に、神話の音楽は作れない! 日本誕生もこれも。この作品は「伊福部昭の芸術7」を聴いてから見たほうが楽しめる、絶対に。(交響組曲には地球防衛軍マーチは使われなかった。以前ご紹介した「伊福部昭の芸術4」の「SF交響ファンタジー第3番」で聴くことができる。)