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椿三十郎(★★★★★)


おすすめ度★★★★★(5段階)
1962年、東宝製作。監督:黒澤明、音楽:佐藤勝、主演:三船敏郎、原作:山本周五郎「日日平安」


ストーリー:次席家老の汚職を追求しようとする若い侍たち。だが、彼らはあまりにも若く、状況判断が甘かった。彼らが話し合いをしているところに偶然居合わせた三十郎は、彼らを放っておくことが出来なかった。かくして、若侍9人+三十郎の、小さな藩に巣食う悪に対する大きな戦いが幕を開ける。剣術の腕だけでなく頭脳明晰な三十郎に対し、とことん頼りない9人だったが、三十郎は彼らに正義を感じ、ともに戦う。笑いあり、興奮ありの90分!見終えた後、誰もが必ず「こんなに面白い時代劇があったなんて」と思うはずです。


「用心棒」の続編だが、話に繋がりはない。あえて挙げるなら、三十郎が「椿三十郎」と名乗るシーン。黒澤映画を初めて見る人は、「七人の侍」かこれを見るのがよいと思う。


佐藤勝の音楽は、用心棒とこの作品のものが有名だと思う。それ以外には「ゴジラ対メカゴジラ」など。なんとなく用心棒のテーマとメカゴジラのテーマは似ている気がする。音楽にこだわる黒澤監督にとって、佐藤勝は早坂文雄の弟子として十分な実力であると思えたに違いない。


キャストは三船敏郎仲代達矢志村喬加山雄三、土屋嘉男といった面々。久保明平田昭彦など、特撮でよく見る顔も多い。


この映画はなんといっても三船敏郎=三十郎のカッコよさだ。「用心棒」の桑畑三十郎と、この映画の椿三十郎(同一人物)を比較すると、椿のほうが善人という気がするが、桑畑もよく考えると同じくらい善人だろう。ただ、正義感をあまり表に出さないから。
三船の演じた侍では、「七人の侍」菊千代もよいが、三十郎もよい。黒澤映画以外なら東郷平八郎元帥などがある。三船のあの顔、あの声、あの立ち居振る舞い、何もかもがカッコいい。存在感が大きすぎて……。こんな役者他にはいない。ああ、彼こそ真実の日本人だ。日本の男はああでなくちゃいけない。最高だ。惚れた。


リメイク版は監督、音楽、キャスト、何より三船敏郎の欠如の結果、駄作になることは確実だ(このデコスケ!)。いや、もしかしたら面白いものになるかもしれないが、それでも三船を超えることはできない。三船は神様だ。何の神様かって、日本映画の神様でもなければ、役者の神様でもない。三船の神様だよ。三船の中の三船。それが三船だ。四船や五船もいるが、三船だ。
残念だが、日本映画は1950年代、60年代が最高だった。和歌で言えば、その時代は万葉集の時代だったのだ。正岡子規が「橘曙覧は万葉・実朝以来の歌人」と言っていたが、「ゴジラvsビオランテ」は60年代・メカゴジラ以来のゴジラ。「赤ひげ」以降はまだ見てないのでゴジラお茶を濁す。黒澤・特撮以外の日本映画をほとんど知らない私はアメリカ人みたいなものですな。実際、ハリウッド映画のほうがはるかにたくさん見てるし。でも黒澤・特撮は今見ても面白いんだ、これが。特撮というか猪(いの)さん、本多猪四郎(いしろう)監督。ほら、今年は猪年でしょ。三十郎は「怪獣が現れても逃げずに民衆を誘導する警察官」みたいな人なんだよな。


サタデー・ナイト・ライブではジョン・ベルーシブルース・ブラザーズのリーダー)が、「用心棒」で三十郎が家屋を破壊するシーンのパロディとして、何か喚きながら台所などを破壊していた。