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ゴジラ(★★★★★)


人類最後の日 来る
山根博士(志村喬)「ゴジラに光を当ててはいけません。ますます怒るばかりです」
水爆が生んだ 現代の恐怖
山根博士「日本だけに現れた、貴重な研究資料だ。君までがゴジラを抹殺しようというのか」
挑む 陸・海・空の精鋭
アメリカ映画を凌ぐ 特殊技術撮影
東宝が全労力をあげた空前のスペクタクル ゴジラ
本年最大の話題作 ゴジラ


おすすめ度★★★★★(5段階)
1954年、東宝製作。本多猪四郎:監督、円谷英二:特撮監督、伊福部昭:音楽。
山根博士:志村喬、芹沢博士:平田昭彦、尾形秀人:宝田明、山根恵美子:河内桃子ゴジラ中島春雄
観客動員961万人を記録。日本映画最大の人気シリーズとなる。伊福部昭は今年の2月に亡くなった。


ストーリー:太平洋上で船舶が謎の沈没。救助に向かった船もまた沈没する。ある夜、太平洋の大戸島で怪事件が発生。山根博士ら調査団が向かうが、そこにあったのは巨大な足跡と放射能、そして三葉虫。そして遂に、調査団の前に太古の恐竜が出現。大戸島の神話「呉爾羅」からゴジラ命名される。怪獣の出現に震える全日本。水爆の記憶か、光を憎むゴジラは、ある夜、遂に大東京に上陸する!戦慄する人々。海に帰るゴジラ。再び上陸することは確実、(この年に結成されたばかりの)自衛隊が出動し、海岸線に防衛網を敷く。そこへゴジラは再び現れる。簡単に敗れる自衛隊。炎上する帝都。被爆する人々。戦死した父のもとへゆく親子、親をゴジラに殺された子供たち。終戦から9年、再び東京は焼け野原となってしまった。日本はどうなってしまうのか。ゴジラを倒す方法はないのか。
ゴジラを研究すべきだと主張する山根博士や、核を超える兵器オキシジェン・デストロイヤーを「生んでしまった」芹沢博士が魅力的だが、特に芹沢博士は主人公の尾形、尾形と婚約した山根博士の娘との三角関係に悩む。志村喬はこの年、七人の侍にも出演した。


第五福竜丸事件を映画に活かせないかと考えた田中友幸プロデューサーが、小説家の香山滋や特撮の円谷英二、後に特撮を多く作ることになった本多猪四郎監督と組み、「ゴジラ」を作り上げた。反戦反核である一方、芹沢博士がゴジラに立ち向かうところは非常に武士的な感じを受ける。ゴジラ映画の中だけでなく日本のSF、特撮映画のナンバー1であるとともに、日本映画、世界の映画の中でも、優れたものの一つだろう。三島由紀夫も「文明批判の力を持った映画だ」と絶賛。科学を妄信する文明への警告は、日本特撮の永遠のテーマとなる。ちなみに、ゴジラの進路は東京大空襲のB29と同じ。


重厚なストーリーと映像を支えるのが、伊福部昭の音楽だ。「メインテーマ(対ゴジラマーチ、いわゆるゴジラのテーマ)」「初代ゴジラのテーマ」「フリゲートマーチ(後の怪獣大戦争マーチなどに流用)」「帝都の惨状」「平和への祈り」などの名曲たち。特に帝都の惨状、平和への祈りは「ビルマの竪琴」(伊福部さんが担当)の音楽にも似ており、映像のインパクトも互角。なお、伊福部さんは戦争中の科学実験において被爆している。


この映画を見るたびに、「核は持っても使うな」という思いを強くする。ゴジラ(=原水爆)を倒す(=なくす)のは、原水爆を超えた兵器のみ。だが、それでは原爆VS原爆、水爆VS水爆、そして酸素破壊剤VS酸素破壊剤と、同じことの繰り返しだ。しかし人類は、神ではないから望んでも不可能なことというのがある。ゴジラ(=恐怖の兵器)は不死身である。また、神道における最も原始的な神、自然の神、荒ぶる神としてのゴジラ、とも思える。
まぶたの裏に浮かぶ名シーンの数々、重いストーリーと映像。そしてゴジラという永遠のキャラクター。娯楽大作であると同時に、芸術の域に達した。当時の評論家はゲテモノと呼んだが。